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2010年1月 2日アーカイブ

「トンデモ科学の大冒険」--書評            

                                                                            情報プラットフォーム、No.20611(2004)


 「科学の本ができあがりましたのでお届けします。版元によるとサイエンス・エッセイとなっています」という書き出しで、秒読みで打ち上げたばかりの著書を送って下さったのは長谷川さんである。

「トンデモ科学の本を書くつもりであるが、航空宇宙エンジニアの肩書きでは実証済みの科学技術の羅列になってしまう可能性がある。

これでは面白くない」「この本は科学書ではなく、紀行文と定義している。宇宙の謎のロマンティックな世界を、読者と一緒に旅をする設定とし、難しい理論を排除。

数式は一切カット」「グラスを傾けながらの読書は無限のロマンの世界へ誘ってくれる筈」とまえがきで執筆の心構えを述べている。


  小惑星の衝突で地球は滅びるのか? 

ウイルスは宇宙からやってきた? 

地球を救う国際救助隊「サンダーバード」の創設がいまこそ必要? 

ロシヤの宇宙船は素晴らしくローテク! 

宇宙へは巨大構造物「軌道エレベーター」で! 

大学発の手作り超低予算の鯨衛星とは? などが多岐にわたる各章の内容だが、そのうちの一つを拾い読みをしても面白い。

最終章、第7章の「テレポーテーションが実現する!」は量子論の世界をめぐる運命論である。これはやはり難しい。

ところで、随所にちりばめられている「知恵のスパイス」は活字のポイントを落としたコラムである。長い旅の道中、涼風の中の一休みである。

 


 あとがきの「旅の終わりに」では、宇宙開発で培われた技術や素材を日常生活に活用する"スピンアウト"は当然のことであるが、逆に地上の優れた技術を宇宙で利用する"スピンイン"の必要性を強調している。

 

日本在野の中小企業には優れたニッチハイテク(狭く掘り下げたマイナーなハイテク)が存在するとして、高知の3つの企業を事例として紹介している。

視認性に優れたグリーンレーザー・ポインターの高知豊中技研、粒子流動化風呂の兼松エンジニヤリング、水を一切使わないバイオトイレのエナジオである。

「全国の都道府県を巡れば、この47倍のニッチハイテクが発見できるだろうと結んでいる」

 


 宇宙観光旅行が大富豪だけのものではなくなる兆しが見えてきた。

民間開発によるスペースシップワンが、乗員3名分の重量を乗せて、9/29と一週間後の10/4の2回、滑走路から出発して100km超の高度まで達して、無事に帰還したとのニュースである。

諸条件を見事に満たして、1000万ドルの賞金を獲得したのである。誰でもの宇宙体験旅行は目前であり、時期を得た出版である。


長谷川洋一著、「トンデモ科学の大冒険」、()文芸社、初版(2004,10,5)発行、\1,470

 

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鈴木朝夫   s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

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